ダイオードI-V特性測定器作成:2-1. 回路設計 – ダイオードのI-V特性を手作業で確認
本記事の主旨
ダイオードI-V特性測定器(カーブトレーサ)作成の測定回路の中核をなす理論とその実験について記す。
本記事の目的
本記事の目的を以下に記す。
- 測定回路の中核となる理論を記すこと
- 測定回路の中核となる理論の実験を記すこと
本記事の背景
ダイオードI-V特性測定器(カーブトレーサ)作成の中で測定回路を作成したため、本記事でその部分的な解説をする。
また、ダイオードI-V特性の安価で簡単な測定方法が書かれた記事が、インターネット上に存在しない。
よって、インターネットでの検索では、電池と抵抗とテスターさえあればダイオードI-V特性を測定できることに気づくことが難しい。
そのため、本記事で解説する。
本記事の位置づけ
以下の流れで作業説明と解説を行った。
記事に対応したリンクを添付した。
概要説明:ダイオードI-V特性測定器作成:0. 概要 | 工事中.com
- 取扱説明
- 回路設計
- ダイオードのI-V特性を手作業で確認★現在のページ
- 回路の実装
- 回路の実装(PWM平滑化)
- 回路の実装(PWM平滑化以外)
- PC側ソフト設計
- pySerialでUSBシリアル通信
- Matplotlibでのグラフ表示
- Pythonで最小二乗法の指数関数近似
- pyexcelでグラフ描画と最小二乗法の指数関数近似
- マイコン側ソフト設計
- Arduino Uno Rev3 / R4 Minima
- Raspberry Pi Pico / Pico 2
- 実験
- 1N4148の測定でマイコンとソースの組み合わせを比較
- 種々のダイオードを測定
- 種々の高精度ゲルマニウムダイオードを測定
- まとめと補足
理論
回路
下図で、BT1が単3乾電池2つで作成した3V、R1が固定抵抗、D1が測定対象のダイオードである。
固定抵抗で実験する場合、下図のR1を種々の値の抵抗に取り換えて実験する。
抵抗を取り換えると、ダイオードにかかる電圧が変わる。

下図で、BT1が単3乾電池2つで作成した約3[V]の電源、R1が可変抵抗、D1が測定対象のダイオードである。
可変抵抗で実験する場合、下図のR1を操作して実験する。
抵抗を操作すると、ダイオードにかかる電圧が変わる。

近似曲線
ショックレーのダイオード方程式に従うとして、指数関数近似をしている。
実験
今回用いたダイオードは以下の3つである。
1N4148
シリコンハウスで購入した、電子工作の定番ダイオードである。

謎のダイオード
日米商事のジャンク袋から入手したダイオードである。

1K60
シリコンハウスで購入した、UNIZONのゲルマニウムダイオード1K60である。
有名な、1N60相当の品である。
確かに、秋月に売っていた1N60と外見はそっくりである。

固定抵抗を用いた実験
実験方法
中古の電子部品入れから適当に抽出した、異なる値の抵抗を使用した。

抽出した抵抗の中で、最大電圧である3[V]がかかっても定格を超えて焼損することのない抵抗を選んだ。

理論で説明した回路の抵抗を、これら一つ一つに順番に交換した。
この方法で、ダイオードにかかる電圧とダイオードを流れる電流を変えて、以下の写真のようにテスターでその電圧と電流を測定した。

実験結果
それぞれのダイオードで測定したところ、以下の表のような電圧と電流の関係になった。
ダイオードに色々な値の電圧をかけたとき、それに対応する電流を測定することを目的としていた。
よって、抵抗は適当な値でよかったため、抵抗値を記録していない。
| 1N4148 | 1N4148 | 謎のダイオード | 謎のダイオード | 1K60 | 1K60 |
| 電圧[V] | 電流[mA] | 電圧[V] | 電流[mA] | 電圧[V] | 電流[mA] |
| 0.912 | 109.7 | 0.884 | 121.7 | 2.15 | 45.5 |
| 0.831 | 41.9 | 0.795 | 43.3 | 1.547 | 27.7 |
| 0.818 | 35.6 | 0.787 | 36.6 | 1.455 | 24.9 |
| 0.805 | 30.3 | 0.776 | 30.9 | 1.362 | 22.3 |
| 0.695 | 5.92 | 0.676 | 5.83 | 0.642 | 5.99 |
| 0.665 | 3.51 | 0.65 | 3.46 | 0.511 | 3.69 |
| 0.645 | 2.45 | 0.632 | 2.42 | 0.44 | 2.63 |
| 0.621 | 1.587 | 0.611 | 1.593 | 0.371 | 1.761 |
| 0.603 | 1.094 | 0.594 | 1.093 | 0.326 | 1.222 |
| 0.584 | 0.754 | 0.576 | 0.75 | 0.288 | 0.845 |
| 0.576 | 0.644 | 0.569 | 0.641 | 0.274 | 0.724 |
| 0.528 | 0.247 | 0.525 | 0.245 | 0.208 | 0.279 |
| 0.51 | 0.163 | 0.507 | 0.161 | 0.1868 | 0.183 |
| 0.494 | 0.118 | 0.494 | 0.117 | 0.1725 | 0.133 |
| 0.388 | 0.0013 | 0.39 | 0.013 | 0.0937 | 0.014 |
それぞれのダイオードでの結果の表は以下である。
1N4148
観測値をLibreOfficeを用いて指数関数近似した結果、決定係数が0.99以上となった。

謎のダイオード
観測値をLibreOfficeを用いて指数関数近似した結果、決定係数が0.99以上となった。

1K60
観測値をLibreOfficeを用いての指数関数近似がうまくできず、近似しなかった。

考察
1N4148
以下引用のデータシートを見ると、30[mA]までは対数軸上で線形、つまりI-V特性が指数関数であるといえる。
よって、I-V特性を指数関数近似することは、適切であるといえる。
1N4148
謎のダイオード
ジャンク袋に入っていたダイオードだったが、一番指数関数近似に従ったグラフとなった。
1K60
ゲルマニウムダイオードらしい、緩やかで順方向電圧が低いグラフとなった。
可変抵抗を用いた実験
実験方法
ダイオードには1N4148のみを用いて、前述と同様に実験を行った。
固定抵抗のときに抵抗を挿入していた回路の部分に、以下の写真にある可変抵抗を挿入して行った。
可変抵抗はデジットで購入したジャンク品で、Bカーブの1[MΩ]可変抵抗である。

ちなみにこの実験では、以下に引用するようにCIAお墨付きの測定方法を用いている。
SOVIET GERMANIUM DIODES | CIA FOIA (foia.cia.gov)
実験結果
以下の表のような、電圧と電流の関係になった。
ダイオードに色々な値の電圧をかけたとき、それに対応する電流を測定することを目的としていた。
よって、抵抗は適当な値でよかったため、抵抗値を記録していない。
| 電圧[V] | 電流[mA] |
| 0.844 | 48.2 |
| 0.826 | 39.8 |
| 0.816 | 33.9 |
| 0.801 | 28 |
| 0.771 | 18.2 |
| 0.738 | 11.16 |
| 0.693 | 5.61 |
| 0.671 | 3.82 |
| 0.621 | 1.516 |
| 0.592 | 0.87 |
| 0.551 | 0.378 |
| 0.501 | 0.13 |
| 0.471 | 0.069 |
| 0.453 | 0.047 |
| 0.433 | 0.031 |
| 0.416 | 0.021 |
| 0.388 | 0.012 |
| 0.375 | 0.009 |
| 0.338 | 0.004 |
| 0.321 | 0.003 |
観測値をLibreOfficeを用いて指数関数近似した結果、特に固定抵抗の場合と変わらないグラフとなった。

考察
回路中の抵抗が可変抵抗でも固定抵抗でも、I-V特性の測定結果は変わらないことが分かった。
固定抵抗と可変抵抗を用いた実験
実験方法
ダイオードには、1N4148のみを用いて行った。
固定抵抗の結果と可変抵抗の結果を混ぜて表を作り、グラフ化した。
実験結果
以下のようなグラフとなった。

考察
固定抵抗と可変抵抗のそれぞれの測定結果を混ぜて散布図にしても、特に値が外れないことが分かった。
結論
以下の結論を得た。
- ダイオードのI-V特性を手動で測定することは、可能である。
- 電池と抵抗とテスターさえあれば、ダイオードのI-V特性を手動測定できる。
- ダイオードのI-V特性を手動で測定するときに用いる抵抗は、固定抵抗でも可変抵抗でもよい。
前回(1. 取扱説明)
次回(2-2-1. 回路設計 - 回路の実装(PWM平滑化))
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